Yahoo!きっず

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Yahoo!きっず
URL kids.yahoo.co.jp
言語 日本語
タイプ ポータルサイト
運営者 LINEヤフー株式会社

Yahoo!きっずは、LINEヤフー[注 1]が運営するポータルサイト。同社の運営するYahoo! JAPANの子ども向け版である。

サービス[編集]

1997年秋からサービス開始。推奨するWebサイトの評価やカテゴリを決定する担当者であるサーファーが、子どもたちに良いと判断したコンテンツのみを使って構成している。そのため、一般のYahoo! JAPANから検索でYahoo!きっずに辿り着くことはできるが、Yahoo!きっずから検索でYahoo! JAPAN には辿り着けない仕様になっている[1]。図鑑や学習ページ、後述するゲームやクイズなどのエンターテイメントを抑え、検索機能が最も多く利用されている[2]。 

検索以外のコンテンツとして、子ども用のブラウザゲームも公開されている。公開された主なゲーム作品には『くまのプーさんのホームランダービー!』があり[3][4]電子掲示板2ちゃんねるで話題を呼んだ[3]。このほかに「Yahoo!きっず環境」[5]や「Yahoo!きっず防災クイズ」[6]など多彩なコンテンツがある。過去に提供していた外部コンテンツには日能研の「シカクいアタマをマルくする」[7]や、NHKの『学校デジタルライブラリー[8]などがある。

「きっずガイド」ではクイズやアニメーションを通してネチケットを学ぶことができる。大人向けには子どもへの指導方法を指示した説明書が提供されている[2]

表示される漢字には適宜読み仮名が振られている。読み仮名は約50万語の辞書データに基づいており、対象の学年を指定することで読み仮名を振る漢字のレベルを学習指導要領に併せて変更できる[9]

利用[編集]

2004年時点で、小学校における情報教育で扱われる検索用ポータルサイトの中ではキッズgooと並んで多く使用されていた[10]。2007年2月1日に発表された調査でも、小中学生がゲームサイトに次いで最も利用するサイトとしてポータルサイトが挙げられ、その代表格としてキッズgooと共に扱われている[11]。利用者数は夏休み期間に増える傾向にあり、2005年8月の月間利用者数は238万人に達した[12]。2008年12月時点では毎月の利用者数は500万人を超えるとされる[2]

子ども向けタブレット端末などではYahoo!きっずが利用可能なアプリケーションに含まれていたり[13]、あるいは子ども用アカウントのデフォルトとして設定されていたりする場合がある[14]

歴史[編集]

1990年代[編集]

1997年11月4日に開設。当時のトップカテゴリは「世界と社会」「アート」「ゲームとコンピュータ」など8つであった[15]

2000年代[編集]

検索上位をゲームが占めていたことからヤフーはゲームの需要が高いと判断し、2003年4月24日にオセロ囲碁将棋をリリースした。いずれもチャット機能は省かれていた[16]

2004年11月、アストロアーツによる動植物1000種以上のデータを収録した「きっず図鑑」を公開[17]。12月にはサイトの大幅リニューアルを行い、「今日のラッキー星座」「今日のワクワク!」「きっず投票」「きっずペーパークラフト」などのコーナーが登場した。また当Webサイトのキャラクターが登場したのもこのリニューアル時である[18]

2007年7月の調査ではYahoo!きっずのユーザー間でオンラインゲームやチャットに対する需要が高まっていることが判明した。それを受けてヤフーはYahoo!きっずのみで使用できるIDを用いた『ポケモンガーデン』を公開した[19]。11年19日、オリジナルの年賀状クリスマスカードなどを作成できる「きっずポストカード」を公開[20]。同年12月3日、それまで携帯電話のキャリアではSoftBank 3Gにのみ対応していたが、全キャリア対応に拡張された。携帯電話の利用に関して安全ガイドも公開された[21]

2008年4月には児童が環境について学習できる「Yahoo!きっず環境」が開設された。環境に関連した解説やニュースのほか、ゲーム『エコエゴ』や4コマ漫画天才? Dr.ハマックス』『エコネコ』、クイズなどが公開された[5]。同年6月に再度リニューアル。背景色や地域など設定のカスタマイズが可能になったほか、検索専用のページが登場し、マウスで入力するソフトキーボードが設置された。キーワードのサジェスト機能も強化された[22]。8月にテレビ東京系列『ファイテンション☆テレビ』とタイアップし、番組の塗り絵のダウンロードやFlashゲーム、質問コーナーなどが公開された。また、番組内コンテンツとしてYahoo!きっずのキャラクターのアニメーションが製作された[23]

2009年8月20日、「きっず検定」と「きっずプロフィール」の機能が追加された。ただし、他ユーザーのプロフィールの検索やメッセージの送信は不可能であった[24]

2010年代[編集]

2013年4月16日から、ページを保存できる「イイ!」ボタン機能が追加された[25]

かつてはiOSアプリもリリースされていたが、2014年12月17日にブラウザ版を残してサービスを終了した[26]。なおこの発表を受けてYahoo!きっず自体のサービス終了と誤解した反応がネットユーザーの間で広まり、ヤフーの運営するTwitter公式アカウントが否定する声明を発表した。この際、ネットユーザーから特に終了が危惧された『くまのプーさんのホームランダービー!』も言及された[27]

2016年11月、東京都で日本の子ども向けポータルサイト3社による会合が開催された。Yahoo!きっずの他にはキッズgooキッズ@niftyが登壇した[28]。同年12月2日には複数の小学生新聞によるニュースの配信を開始。同時に『妖怪ウォッチ』と連携したサービスを終了した[29]。2017年4月20日には「ドリル」のサービスを終了し、「プログラミング」と「情報」が追加された[30]

2020年代[編集]

2020年10月8日には画像検索機能が追加された。作品名などを検索すると二次創作やファンアートは表示されず、公式Webサイトに掲載されている画像のみが表示される。このように子ども用のフィルタリングが設定された画像検索機能がポータルサイトに導入されたのは、ヤフーによると日本初のことである[31]。また同年12月末のAdobe Flashのサービス終了に伴い、Flashゲームの公開は同年12月26日に終了した[3]

2021年3月11日、東日本大震災から10年が過ぎ、当時を知らない子どもが増えていることを受け、「ちょボットの防災道場~地しん・つなみの巻~」を公開。防災の重要性を伝える内容となっている[32]

キャラクター[編集]

Yahoo!きっずのマスコットキャラクターとして、ちょボット、ピョコたん、スナギモさんがいる[6]。これらキャラクターはサンリオとの共同開発で製作された[18]。着ぐるみがイベントに登場することもある[33]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2023年9月30日まではZホールディングス(ソフトバンクグループ)傘下のヤフー

出典[編集]

  1. ^ 市川公一、小野沢忠仁、小林良子、棚橋佳子、豊田雄司、豊田恭子「インタビュー : Yahoo!のリンクとしくみ(<特集>情報のリンク)」『情報の科学と技術』第48巻第12号、1998年、704-709頁、doi:10.18919/jkg.48.12_704 オープンアクセス
  2. ^ a b c Yahoo!きっずの想い”. 日本文教出版. 2021年5月27日閲覧。
  3. ^ a b c ヨシムネ (2020年12月16日). “『くまのプーさんのホームランダービー!』ページも跡地に。Yahoo!きっずで「Adobe Flash」を使ったゲームの配信が12月16日16時をもって終了”. 電ファミニコゲーマー . マレ. 2021年5月26日閲覧。
  4. ^ 鴫原盛之 (2013年10月25日). “想像を絶する激ムズ仕様「くまのプーさんのホームランダービー!」をキミは知っているか? 俺は泣きながらクリアした”. ねとらぼ. ITmedia. 2021年5月27日閲覧。
  5. ^ a b 関口賢 (2008年4月23日). “大人も必見〜子どもが環境問題を楽しく学ぶ「Yahoo!きっず環境」”. エンタメRBB. イード. 2021年5月16日閲覧。
  6. ^ a b 工藤めぐみ (2021年3月5日). “自分の身は自分で守る…Yahoo!きっず「防災クイズ」に挑戦”. ReseMom. イード. 2021年5月26日閲覧。
  7. ^ 村松健至 (2006年5月26日). “Yahoo!きっず、日能研提供の「シカクいアタマをマルくする」を公開”. BB Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  8. ^ 大久保有規彦 (2006年4月18日). “Yahoo! JAPAN、「Yahoo!きっず」にてNHK提供の学校放送番組を無料配信”. BB Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  9. ^ ヤフー、漢字の読みを返す「ルビ振り」API公開”. ITmedia (2008年7月16日). 2021年5月26日閲覧。
  10. ^ 福島健介、島田文江、松波紀幸、生田茂「インターネット検索能力の差異に及ぼす要因の検討その2」『コンピュータ&エデュケーション』第20巻、2006年、56-61頁、doi:10.14949/konpyutariyoukyouiku.20.56 閲覧は自由
  11. ^ 2ちゃんねるは12%、YouTubeは7%――小中学生がよく使うサイトは”. ITmedia (2007年2月1日). 2021年5月26日閲覧。
  12. ^ 増田覚 (2005年9月29日). “子供向けコンテンツ利用者数が過去最高に~ネットレイティングス調査”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月27日閲覧。
  13. ^ 子ども向け7インチAndroidタブレット「MEEP!」、トイザらスが発売”. ITmedia (2014年4月10日). 2021年5月26日閲覧。
  14. ^ 岡田有花 (2007年9月3日). “PCを子ども用に変える「鍵」 バンダイとバッファローが共同開発”. ITmedia. 2021年5月26日閲覧。
  15. ^ 子供向けの検索サービス「Yahoo!きっず」がスタート”. Internet Watch. インプレス (1997年11月4日). 2021年5月26日閲覧。
  16. ^ Yahoo!きっず、子供の安全面に配慮したオンラインゲームを開始”. Internet Watch. インプレス (2003年4月24日). 2021年5月26日閲覧。
  17. ^ 村松健至 (2004年11月29日). “動物や植物のデータを動画や音声付きで調べられる「Yahoo!きっず図鑑」”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  18. ^ a b 村松健至 (2004年12月20日). “Yahoo! JAPAN、Yahoo!きっずをリニューアル。ペーパークラフトも提供”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  19. ^ 宮本真希 (2008年8月10日). “「これなら安全」の子ども用チャットとは──Yahoo!きっず”. ITmedia. 2021年5月26日閲覧。
  20. ^ 三柳英樹 (2007年11月19日). “Webでクリスマスカードや年賀状が作れる「Yahoo!きっずポストカード」”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  21. ^ 「Yahoo!きっず」携帯版が全キャリア対応に”. ITmedia (2007年12月3日). 2021年5月26日閲覧。
  22. ^ 永沢茂 (2008年6月10日). “Yahoo! JAPAN、子供向け検索のシンプルな専用トップページ開設”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  23. ^ 「ファイテンション☆テレビ」と「Yahoo!きっず」がプロモーションタイアップ開始!!”. DLE (2008年8月29日). 2021年5月27日閲覧。
  24. ^ 村松健至 (2009年8月20日). “Yahoo!きっず、検定作成とプロフィールサービスを追加”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  25. ^ 森田秀一 (2013年4月17日). “Yahoo!きっずに「イイ!」ボタン導入、ページをコレクション可能に”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  26. ^ ヤフー、「Yahoo!プロフィール」など17サービスを終了”. ITmedia (2014年11月11日). 2021年5月26日閲覧。
  27. ^ 「きっずは終わりません…!プニキも健在です」とヤフー公式”. ITmedia (2014年11月12日). 2021年5月26日閲覧。
  28. ^ 高橋暁子 (2016年12月9日). “子ども向けポータルサイト3社の考える「子どもとインターネットの未来」”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  29. ^ 三柳英樹 (2016年12月2日). “「Yahoo!きっず」がリニューアル、小学生新聞のニュースを配信”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  30. ^ 岩崎宰守 (2017年4月21日). “「Yahoo!きっず」学習コーナーに「プログラミング」など追加”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。
  31. ^ 谷井将人 (2020年10月8日). “Yahoo!きっずに“安全な画像検索”機能 フィルタリングで不適切画像をブロック”. ITmedia. 2021年5月27日閲覧。
  32. ^ 防災をクイズで学ぶ「ちょボットの防災道場~地しん・つなみの巻~」~Yahoo!きっずが提供開始」『教育家庭新聞』、2021年3月11日。2021年5月26日閲覧。
  33. ^ 永沢茂 (2008年8月12日). “Yahoo!きっず、親子向けイベントで「ネットのマナーABC」”. Internet Watch. インプレス. 2021年5月26日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]