カイロプラクティック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カイロプラクティック
治療法
脊椎のアジャスト(調整 / 矯正)を行う
カイロプラクター
ICD-10-PCS 9
MeSH D026882
テンプレートを表示

カイロプラクティック: chiropractic)は、1895年アメリカダニエル・デヴィッド・パーマーによって創始された手技療法。名前の由来ギリシャ語で、"カイロ" → "手"、"プラクティック" → "技術" を意味する造語[1]世界保健機関(WHO)は補完代替医療[2]として位置づけている。

アメリカイギリスカナダオーストラリアEU諸国の数か国など、約40か国が、主に筋骨格系の障害を取り扱う、脊椎ヘルスケア専門職として法制度化している。

日本は、カイロプラクティックのみを対象にした法的な資格制度が存在せず、民間療法として誰もが自由に開業、医療関連法規に抵触しないことを前提に施術が事実上可能である。

概要[編集]

カイロプラクティックを創始したダニエル・デヴィッド・パーマー

世界保健機関の定義では、「筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断治療予防する専門職である[1]。治療法として手技による関節アジャストメントもしくは脊椎マニピュレーションを特徴とし、特にサブラクセーションに注目している」[1]とされている。厚生労働省が運営するサイトでは海外の情報として「カイロプラクティックは身体の構造(特に脊椎)と機能に注目した専門医療であり、施術法は主に脊椎やその他の身体部位を調整(矯正)することにより、ゆがみの矯正、痛みの軽減、機能改善、身体の自然治癒力を高めることを目的としている」と紹介している[3]

カイロプラクティックの定義は団体や教育機関によりそれぞれ異なる場合が多い。過去、疾病の直接の原因が脊椎など椎骨(運動分節)の構造や機能の異常(サブラクセーション)であるとする説もあった。定義や解釈に差異はあるが施術はそれぞれの国や州の現行の法律に基づくものである。カイロプラクティックの名称はギリシャ語の Chiro(手)と Prakticos(技術)を組み合わせた造語[1]で、サブラクセーションを調整するためにアジャストメントと呼ばれる手技療法を用いることに由来する。

WHOはカイロプラクティックを代替医療[4]として位置付け、2005年に安全で有用な教育を目的に「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン(指針)」を発行して日本語のほか10ヶ国語以上に翻訳されている[5]。WHOは1997年に世界約80カ国からなるNGO世界カイロプラクティック連合 (WFC) をカイロプラクティック団体として初めて認可した。[要出典]カイロプラクティックの施術者はカイロプラクターとしてアメリカイギリスカナダオーストラリアニュージーランドEU諸国、南アフリカなど約40カ国が資格として法制化している[6]

米国[編集]

米国カイロプラクティック協会 (ACA)は「筋骨格系と神経系疾患に特化した医療」と定義している。カイロプラクター(カイロドクターとも呼ばれる)は薬物投与や手術療法はせず、独自の手技療法を治療の主な手段とし、検査(レントゲン撮影も行える権限がある)、診断(すなわち「あなたのこれは…と言う病気です」と公にする、診断権がある)と治療(つまり医療行為が認められる)を行っている。カイロプラクターは幅広い診断知識を有し、手技療法、理学療法リハビリテーションのほかに、栄養と食事や生活習慣も指導する。州の法律に規定された業務範囲以外の治療や検査が必要な場合は他の医療機関を紹介する。

日本[編集]

日本には、1916年にパーマーの設立したパーマー・スクール・オブ・カイロプラクティック(現在のパーマー・カレッジ・オブ・カイロプラクティック)の卒業生である河口三郎が伝えたとされている。同校初の日本人卒業生は森久保重太郎である。[7]

国民生活センターは整体、カイロプラクティック、マッサージなどの重症事例を「手技による医業類似行為の危害の報告書」として2012年にまとめ、カイロプラクティックは法的資格制度がなく、施術者の技術水準や施術方法などの差異を指摘した。国民生活センターの要請に、業界の対応として日本カイロプラクターズ協会 (JAC) は「カイロプラクティックの安全性に関するガイドラインおよびカイロプラクティックの広告に関するガイドライン」を発表し[8]、利用者の安全性を高める目的で、特定の対象者に対して安全教育プログラムを開始した。

WFCに加盟する日本の代表団体は日本カイロプラクターズ協会 (JAC) である。2014年から自主規制として日本カイロプラクティック登録機構 (JCR) により一定の基準を満たしたカイロプラクターの登録制度が始まった[9]

施術技法[編集]

NBCEではよく使用される技法について集計を行っており、以下は2003年の集計である[10]

技法 技法を用いる施術者の割合(%) 施術を受けた患者の割合(%)
1. ディバーシファイド・テクニック(Diversified technique) 96.2 71.5
2. Extremity manipulating/adjusting 95.4 46.8
3. アクティベータ・メソッド (Activator Methods) 69.9 23.9
4. トンプソン・テクニック 61.3 28.2
5. ガンステッド・テクニック (Gonstead) 57.2 26.2
6. コックス・テクニック (Cox Flexion/Distraction) 56.5 23.5
7. 仙骨後頭骨テクニック (Sacro Occipital Technique) [SOT] 49.6 15.3
8. アジャスト・インストゥルメント (Manipulative/Adjustive Instruments) 40.3 15.7
9. 頭蓋・テクニック (Cranial) 38.0 10.3
10. アプライド・キネシオロジー (Applied Kinesiology) [AK] 37.6 12.9
11. ニモ・レセプター・テクニック (NIMMO/Receptor Tonus) 33.6 13.4
12. ローガン(ベーシック)テクニック (Logan Basic) 26.0 5.2
13. ホール・イン・ワン・テクニック(パーマー・上部頸椎・テクニック、またはターグル・リコイル・テクニック)(Palmer upper cervical, [HIO] ,Hole-in-One) 25.7 6.7
14. ピアーズ・スティールワゴン・テクニック (Pierce-Stillwagon) 15.4 5.1
15. メリック・テクニック (Meric) 15.1 4.3
16. その他 12.5 10.4

カイロプラクティック資格[編集]

詳細は「カイロプラクター」を参照。

世界・海外[編集]

カイロプラクティックの法的資格がある国々では、一般的に国際カイロプラクティック教育評議会加盟の認証機関から認可を受けた教育機関で専門教育を履修し、国や地域が指定する資格試験に合格することで、カイロプラクティックを行う者としてカイロプラクターの資格を取得することができる。

アメリカやカナダにあるカイロプラクティック専門大学では、ドクター・オブ・カイロプラクティック (Doctor of Chiropractic)(D.C)職業学位First professional degree)が取得できる。学位取得後、各州の指定する資格試験に合格することが義務付けられている。

イギリスオーストラリアスイスデンマーク南アフリカニュージーランドマレーシアなどのカイロプラクティック学科のある大学では、卒業時に、DC号ではなく、修士号または学士号の学位が取得できる。卒業後、カイロプラクターとして働くには、各州もしくは各国のカイロプラクティック資格試験に合格しなくてはならない。ヨーロッパの多くの国では資格試験合格の後に数年間の研修期間が義務付けられている。

日本[編集]

日本ではカイロプラクターの法的資格が存在しないことからカイロプラクターを自称する開業は事実上制限がなく[11]、カイロプラクターを養成する場合も、指導する際に必要な法的資格は無い。そのため後述する数日間の研修~4年間、国際カイロプラクティック教育評議会加盟の認証機関から認可を受けた教育機関のものまで様々な養成施設が存在し、いずれもカイロプラクターを名乗る。厳密には前述した認証機関から許可を受けた教育機関の履修者をカイロプラクターとし、日本カイロプラクティック登録機構が提供する試験(国際カイロプラクティック試験委員会による提供)を受験することができる。この試験に合格することで、海外においてもカイロプラクターとしての証明になり、各州もしくは各国のカイロプラクティック資格試験・開業試験の受験資格を得る。しかし、日本国内においては数日間の研修を終えたカイロプラクターと名乗る者と法律における資格上の差異はない。

海外のカイロプラクティック専門大学を卒業したが資格試験を合格しなかった者に対して日本カイロプラクティック登録機構が登録を目的に登録カイロプラクターの試験を実施している。

調査研究と報告[編集]

カイロプラクティックの有効性を認めた研究[編集]

  • 1979年 - ニュージーランドレポート (ニュージーランド
    • カイロプラクティック調査委員会
      • イングリス委員長(弁護士・法学部教授)フレイザー、ペンフォールド他
  • 1984年 - オーストラリア厚生省報告書 (オーストラリア
    • メディケア受益検討委員会
      • ニュージーランドレポートを参照
  • 1987年 - スウェーデン代替医療委員会報告書 (スウェーデン)
    • スウェーデン政府、教育者の代表と医師、カイロプラクター各1名
  • 1991年 - 米国厚生省 ランド(RAND)研究腰椎に対する脊椎マニピュレーションの適応性 (米国)
    • シェキリー主任研究者(大学教員)その他医師6名、カイロプラクター3名
  • 1993年 - カナダオンタリオ州政府マンガレポート(カナダ)[12]
    • マンガ主任研究者(大学教授)健康経済学者他3名
  • 1993年 - 英国王室基金ビングハムレポート(英国)
    • カイロプラクティック特別調査委員会
  • 1994年 - 米連邦政府ヘルスケア対策研究局 成人における急性腰痛の諸問題腰痛ガイドライン(米国)[13]
    • ビゴス整形外科医他23名のパネル委員とカイロプラクター2名
  • 1995年 - 英国政府腰痛の臨床業務ガイドライン腰痛ガイドライン(英国)
    • 臨床スタンダード委員会10名中カイロプラクター1名参加
  • 1995年 - カナダケベック州むち打ち関連疾患に関する調査(カナダ)
    • ケベック州調査委員会
      • スパイザー委員長他34名の専門家(カイロプラクター含む)
  • 2004年 - 英国腰痛運動とマニピュレーションの無作為試験(英国)[14]
    • 英国BEAM(back pain exercise and manipulation)試験チーム
  • 2005年 - カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン[15]
    • WHOカイロプラクティック調査委員会
      • 計26名(WHO、カイロプラクター、政府機関関係者含む)
  • 2006年 - 慢性非特異的腰痛管理ヨーロピアンガイドライン(欧州)[16]
    • 慢性腰痛ガイドラインワーキンググループ
      • 9ヶ国11名の専門家(整形外科医、理学療法士、心理学者、麻酔科医他)
  • 2007年 - 米国内科学会および米国疼痛学会による統合臨床診療ガイドライン(米国)[17]
    • 米国内科学会臨床有効性評価委員会および米国疼痛学会腰痛ガイドラインパネル計医師7名
  • 2008年 英国カイロプラクティック協会が「Trick or Treatment」(邦題・代替医療のトリック)著者であるサイモン・シンを名誉毀損で告発。2010年、同協会が訴えを取り下げ裁判は終了[18]
  • 2008年 - 運動器の10年・頚痛とその関連疾患の調査[19]
    • 運動器の10年(BJD)調査委員会
  • 2009年 - NICE(英国国立臨床評価機構)ガイドライン 成人の腰痛(英国)[20]
    • NICE (英国国立臨床評価機構)調査委員会
  • 2012年 - 急性と亜急性の頚痛に対する脊椎マニピュレーション、薬物治療、在宅運動指導の比較(米国)[21]
    • 米国内科学会
    • The efficacy of manual therapy and exercise for different stages of non-specific low back pain: an update of systematic reviews.
  • 2012年 - 腰痛診療ガイドライン2012(日本)[22]
    • 日本整形外科学会/日本腰痛学会
  • 2014年5月に発表された、腰痛に対してのマニュアルセラピーの有効性を示すSystemic review[23]
  • 2017年 - オピオイド鎮痛薬療法と慢性非がん性疼痛のガイドライン(カナダ)[24]
  • 2017年 - 急性、亜急性、慢性腰痛に対する非侵襲的治療:米国内科学会の臨床業務ガイドライン(米国)[25]
    • 米国内科学会
  • 2018年 - 腰痛の予防と治療:エビデンス、課題、将来展望[26]
    • ランセット雑誌腰痛シリーズ調査委員会
  • 2018年 - 米軍所属の腰痛患者の疼痛および障害に対する標準医療へのカイロプラクティック併用と標準医療の比較:比較有効性試験(米国)[27]
  • 2018年 - 思春期の腰痛に対する脊椎徒手療法と運動療法:無作為化試験(米国)[28]
  • 2019年 - 慢性腰痛治療を目的とした脊椎徒手療法の有益性と有害性:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタ解析[29]

安全性に関して[編集]

海外では脳卒中、馬尾症候群、椎間板ヘルニアの増悪などの重大な合併症が数例報告されているが、これらの合併症と脊椎矯正との明確な因果関係は判明していない。2007年に英国で実施されたカイロプラクティック療法を受けた患者19,722人の治療転帰に関する研究では、頚椎矯正後の軽度の副作用が比較的多く認められたが、施術直後から7日目までに重篤な有害事象が発現する危険性は「低い、または非常に低い」という結果が得られた。2009年に実施されたカナダのオンタリオ州の住民に関する9年間の入院記録の研究では、椎骨脳底動脈(VBA)梗塞(脳後部に血液を供給する動脈が関与)818例を対象に分析を行い、カイロプラクターを受診した場合にかかりつけ医を受診した場合よりVBA梗塞の危険性が高まるという科学的根拠は得られなかった。研究者らは、かかりつけ医の受診とVBA梗塞に関連性が認められた理由について、VBA解離(動脈損傷)を生じた人は頭痛や頚部痛のために梗塞が起こる前に医療機関を受診する可能性があるためではないかと考察している[30]

日本における健康被害や法的地位などの問題点[編集]

日本は各府省により対応が異なる。厚生労働省医政局は民間療法無認可手技療法、厚生労働省職業安定局は医療・保健・福祉の職業やサービス業、経済産業省は医療・福祉に位置づけている。施術および開業については昭和35年の最高裁判決「医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する」、また「職業選択の自由」により就業している状況である。

現在、カイロプラクティックを直接規定する法律が存在しないが、長年にわたって厚生労働省はカイロプラクティック業界の存在を認知している。無論、人の健康に害を及ぼすおそれがあれば、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(『あはき法』という)第12条違反や、医師法第17条違反となり、処罰の対象となり得る。

カイロプラクティックによる健康被害[編集]

国民生活センターは2012年、手技による医業類似行為の危害について発表した。同報告によれば2007年度から2012年6月末日の約5年間までの登録分で、カイロプラクティックによる健康被害は110件あった[31]

2017年、消費者庁は「法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に」という報告書を発表した。同報告書によれば平成21年9月1日から平成29年3月末までに、カイロプラクティックによる健康被害が221件報告されている。そのうち治療期間が一ヶ月以上の事故は45件あった。[32]日本カイロプラクターズ協会は消費者庁の報告に関し、事故報告が架空のものでないかを検証されていないなどとして、消費者庁の報告書の公表に反対するとしている[33]

日本での法的地位[編集]

上記にもあるが日本では法制化されていないため、法に定められる以外の民間療法行為となる。

政府は「カイロプラクティック療法は、脊椎を調整することにより、神経の回復を図ることを目的とする療法とされており、この点においてあん摩マッサージ指圧と区別されるものと考えられる」との見解を答弁している[34]

次の療法について、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律の適用上疑義が生じたので折返しご教示願います。

1 カイロプラクチック療法
この療法は一八九五年米国のダニエル・ダヴィッドパーマーによって創案され、手技により脊椎の不全、脱臼を矯正する方法で脊椎矯正療法ともいわれているが、これを指圧に含めてよいかどうか。

昭和四十五年六月二十四日医第三七四号をもって貴県衛生部長から御照会の標記の件について、次のとおり回答する。
1について
御照会のカイロプラクチック療法は、脊椎の調整を目的とする点において、あん摩、マッサージ又は指圧と区別され、したがって、あん摩、マッサージ又は指圧に含まれないものと解する。

— 昭和四五年六月二四日 医第三七四号 厚生省医務局長あて宮城県衛生部長照会 (抜粋)

日本における問題点[編集]

法的資格制度が無いため、教育の有無を問わず誰もがカイロプラクターを自称することが可能である。

自称のカイロプラクターが多いため、頸椎アジャストメントによる事故も報告されている。それにより、前述の通り厚生省はカイロプラクテック各団体に「医業類似行為に対する取り扱いについて」を通知し、その中に禁忌対象疾患の認識や一部の危険な手技の禁止を指摘した。これにより各団体(ただし全団体ではない)により自主規制が設けられることになったが、法的にはカイロプラクティックが禁止されることはなく、問題が起きた時には個別の施術者が傷害などに問われることになる。

業団体の意思の統一が図られることが、現状ではかなり難しいと思われる。現在でも、厚生労働省はカイロプラクティックの法制化には消極的で、資格化の可能性は低い。平成16年度 保健所行政の施策及び予算に関する要望書(全国保健所長会)においては、「整体術(カイロプラクテック)やエステティック等の施術類似行為に対し早急に法的規制、管理指導を引き続き強化されたい」との要望が出されている。

法的資格制度が無いため、数か月のものから2年制、パートタイム、4年制、国際カイロプラクティック教育評議会加盟の認証機関から認可を受けた教育機関のものまで様々な養成施設が存在する。その結果、カイロプラクティックの教育を受けたものとカイロプラクターを自称する者が混在して混乱している。それでも業において現状の法解釈では、あくまでも人の健康に害を及ぼすおそれがないことが前提である。

米国で州資格を取得した者もいるが、日本ではレントゲン等の検査ができない(レントゲン写真の読影を医師および歯科医師以外が行えば、医師法および歯科医師法違反となる[35])ため、日本国内での施術は米国のものとは異なる部分がある。また米国でD.C.学位を取得した学位取得者と、国家試験に合格し開業免許を取得した資格取得者を区別することは可能である。米国の国家試験に合格したカイロプラクターであれば、全米カイロプラクティック試験委員会(NBCE)の合格証明書、もしくはいずれかの州の開業免許を持っている。米国政府公認カイロプラクター、米国政府公認ドクターオブカイロプラクティックの肩書きをもつ者がいるが、米国連邦政府はカイロプラクターを認可することはしていないためこの表現には事実誤認がある。

「カイロプラクティック」、「整体」ともに国家資格等の規準が無く民間資格である。

厚生省の通知[編集]

厚生省健康政策局医事課長通知において禁忌対象疾患、一部の危険な手技の禁止、適切な医療受療の遅延防止、誇大広告の規制が示された[36]

通知において禁忌対象疾患が挙げられているが、過去にはマッサージ様の施術で、禁忌を認識していた施術に関し、医行為とした判例がある[37]法律が変わっていない場合、判例に背いた行政通知は無効であり、この通知をカイロプラクティック療法の合法性の根拠とすることはできない。[独自研究?]

WHO基準と日本国内のカイロプラクティック教育の現状[編集]

WHOは日本の様な「未法制化国」での教育は「正規には繋がらない、限定的な教育」と分類している。

日本の「WHO基準」「国際基準」を標榜する学校は高卒、又は高卒程度で入学が可能であるが、「WHO ガイドラインの正規教育」には入学前基準があり、およそ理系大卒程度の基礎科学が必要とされている。これは 医学を学ぶにあたり、より高度な知識が必要となるためである。アメリカのカイロプラクティック大学では、就学前に一般教養、基礎科学の単位が必須であり、さらに4年間の学習となる。

日本にカイロプラクティック教育の多くは授業内容も自称であり、時間数だけで優劣は判断ができない。卒業後に民間資格が与えられることが多い。また、大学評価・学位授与機構に登録されているCCEアメリカの認定機関であり、日本のカイロプラクティック学校を認定・認可した事実は無い[38]。しかし、日本で国際カイロプラクティック教育評議会のうちの一つの南洋州カイロプラクティック教育評議会に認可された学校として東京カレッジ・オブ・カイロプラクティックが存在する。アメリカ合衆国においてカイロプラクティックに関する種々の試験を運営する、全米カイロプラクティック試験委員会(NBCE)によって、本校の卒業者は同協会による試験の受験資格を有するとされている[39][40]

日本以外の法制化国に留学し、職業大学を卒業した者は別に存在する。ただし法制化された地域では学位授与後に国家試験の受験などにより資格を取得し開業権を持つ。アメリカにあるカイロプラクティック大学の入学条件は、2学期制で90単位以上の自然科学を含むGPA2.50以上の事前教育(プレ-カイロプラクティック教育)が必要とされている[41]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 世界保健機関 2006, p. 11.
  2. ^ 神戸新聞, 2013年4月1日
  3. ^ http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/04.html 海外の情報 カイロプラクティック] - 厚生労働省「統合医療」情報発信サイト
  4. ^ Traditional Medicine>Traditional, Complementary and Herbal Medicine>WHO Guidelines on Basic Training and Safety in Chiropractic
  5. ^ World Health Organization About WFC - World Federation of Chiropractic (英語) 検索日2010年02月08日
  6. ^ 世界保健機関 2006, p. 6.
  7. ^ 日本人で最初のカイロプラクター森久保重(しげ)太郎 - 日野市
  8. ^ 健康被害防止へ安全指針カイロ療法団体が作成 法制化が今後の課題 - 共同ニュース 
  9. ^ カイロ施術者の名簿公開 - 産経新聞 
  10. ^ Christensen MG, Kollasch MW (2005). “Professional functions and treatment procedures” (PDF). Job Analysis of Chiropractic. Greeley, CO: National Board of Chiropractic Examiners. pp. 121–38. ISBN 1-884457-05-3. http://nbce.org/pdfs/job-analysis/chapter_10.pdf 2008年8月25日閲覧。 
  11. ^ 人の健康に害を及ぼすおそれがない、という前提で取締が行われていないのであって、人の健康に害を及ぼすおそれがあったり、医業に該当する場合は取締対象となる。
  12. ^ Manga P, Angus D, Papadopoulos C, Swan W. The Effectiveness and Cost-effectiveness of Chiropractic Management of Low-Back Pain, Commissioned by the OCA. Funded by the Ontario Ministry of Health, 1993.
  13. ^ Bigos, S, Bowyer, O, Braen, G, et al. Acute low back pain in adults. Clinic Practice Guideline No. 14. AHCPR Publication No. 95-0642. Rockville, MD: Agency for Health Care Policy and Research, Public Health Service, US Department of Health and Human Services. December, 1994 (英語)
  14. ^ United Kingdom back pain exercise and manipulation (UK BEAM) randomised trial: cost effectiveness of physical treatments for back pain in primary care. BMJ (Clinical research ed. 2004 Dec 11;329(7479):1381(英語)
  15. ^ 世界保健機関 2006, p. 24.
  16. ^ EUROPEAN GUIDELINES FOR THE MANAGEMENT OF CHRONIC NON-SPECIFIC LOW BACK PAIN - COST B13 Working Group on European Guidelines for Prevention in Low Back Pain
  17. ^ Chou R, Qaseem A, Snow V, Casey D, Cross JT, Jr., Shekelle P, et al. Diagnosis and treatment of low back pain: a joint clinical practice guideline from the American College of Physicians and the American Pain Society. Annals of internal medicine. 2007 Oct 2;147(7):478-91.(英語)
  18. ^ Simon Singh libel case droppedThe Guardian Thursday 15 April 2010 12.28
  19. ^ The Bone and Joint Decade 2000–2010 Task Force on Neck Pain and Its Associated Disorders: Executive Summary. Spine 15 February 2008 - Volume 33 - Issue 4S - pp S5-S7(英語)
  20. ^ Low back pain in adults: early management. NICE guidelines 2009 May(英語)
  21. ^ Spinal Manipulation, Medication, or Home Exercise With Advice for Acute and Subacute Neck Pain: A Randomized Trial. Ann Intern Med. 2012;156(1_Part_1):1-10.(英語)
  22. ^ 腰痛診療ガイドライン2012日本整形外科学会/日本腰痛学会 南江堂 2012年11月5日
  23. ^ [1]J Man Manip Ther. 2014 May;22(2):59-74.
  24. ^ Guideline for opioid therapy and chronic noncancer pain. CMAJ. 2017 May 8;189(18):E659-E666(英語)
  25. ^ Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians. Ann Intern Med. 2017 Apr 4;166(7):514-530.(英語)
  26. ^ Prevention and treatment of low back pain: evidence, challenges, and promising directions. Lancet. 2018; 391: 2368-2383(英語)
  27. ^ Effect of Usual Medical Care Plus Chiropractic Care vs Usual Medical Care Alone on Pain and Disability Among US Service Members With Low Back Pain - A Comparative Effectiveness Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2018;1(1):e180105(英語)
  28. ^ Spinal manipulation and exercise for low back pain in adolescents: a randomized trial. Pain. 2018 Jul;159(7):1297-1307(英語)
  29. ^ Benefits and harms of spinal manipulative therapy for the treatment of chronic low back pain: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ 2019; 364 :l689(英語)
  30. ^ 「統合医療」情報発信サイト - 厚生労働省 
  31. ^ 手技による医業類似行為の危害 -整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も-”. 独立行政法人 国民生活センター. 2021年4月29日閲覧。
  32. ^ 法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に”. 消費者庁. 2021年4月29日閲覧。
  33. ^ 消費者庁「法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に」に対する当会の見解および対応::一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)”. www.jac-chiro.org. 2021年4月29日閲覧。
  34. ^ 内閣総理大臣宮澤喜一参議院議員堀利和君提出カイロプラクティック取扱いに関する質問に対する答弁書』(レポート)、第122回国会、1992年1月。
  35. ^ 医師法違反、診療放射線技師及び診療エックス線技師法違反, 刑集第45巻2号32頁 (最高裁判所第一小法廷  平成3年2月15日).
  36. ^ 厚生労働省○医業類似行為に対する取扱いについて(平成三年六月二八日)(医事第五八号)(各都道府県衛生担当部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知)』(レポート)。
  37. ^ 大阪高裁昭和28年5月21日判決 最高裁判所刑事判例集9巻7号1098頁、最高裁判所第三小法廷昭和28(あ)3373
  38. ^ Council for Higher Education Accreditation CCEを評価する米政府高等教育アクレディテーション評議会(CHEA)内検索ページ(英文)
  39. ^ NBCE代表取締役、「TCCの学生と卒業生はNBCEを受けられます」::国際承認DCプログラムの東京カレッジオブカイロプラクティック(TCC)
  40. ^ Written Test Sites(英語)
  41. ^ /2007_January_STANDARDS.pdf#page=32 Standards for Doctor of Chiropractic Programs and Requirements for Institutional Status January 2007 - Council for Higher Education Accreditation(英文pdf)

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]