オーディション

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オーディションの例。ニューヨークのMTA駅などでパフォーマンスすることを許されるアーティスト60人「en:Music Under New York」を選ぶためのオーディション。左側が応募してきたパフォーマーグループ。右側が審査員たち。
東京都でもオーディションによって、「ヘブンアーティスト」というライセンス、都立公園など指定された公共の場所でパフォーマンスを行えるライセンスを与えている。そのオーディションには東京都知事も審査員として参加する。

オーディション英語: audition)とは、特定の作品の役や役割を担当するのにふさわしい俳優歌手ダンサーなどを選ぶために、その候補者たちに実際に何らかの短いパフォーマンスやデモンストレーションを行わせて、適性や能力を判断するためのインタビュー[1][2](互いに直接顔を合わせる場)。劇・オペラ・等々等々の作品の上演の前に、まず出演者を決めるためにプロデューサーや演出家などが、出演を志望する俳優などの技量や適性を判断するための審査会[3]。実際に短時間演技させたり歌わせたり踊らせるなどして、特定の作品、あるいは何らかの役割などに適した俳優・歌手・ダンサーなどを選ぶ場。

概要[編集]

Cambridge Dictionaryでもこの意味の解説が真っ先に挙げられているように、特定の作品(特定の映画作品、演劇作品、ミュージカル作品、ダンス作品 等)の上演予定や制作予定が最初に決まっていて、その作品に適した俳優・ダンサー・歌手などを選ぶオーディションが基本である。通常は非公開で行われる。

それ以外に「ショービジネスのスター(やアイドル)の卵を見つけるために」(あるいは、そういう建前で裏ではすでに誰を起用するか決まっていながら)行われるものもある。こちらは、メディアを巻き込んでおいて、人々の注目を集めることで後のビジネス展開をしやすくすることも計算に入れているので、しばしば「公開オーディション」の形をとる。テレビ局としてはその場の視聴率を稼いでテレビ番組として成立させることのほうがむしろ主目的になっているオーディション番組というものもある。
一方動画サイトが発達してからはロックバンドのメンバーを募集する際YouTubeの自分たちの曲をカバーしている演奏動画を見てスカウトし、候補者を一同に集めるという形のオーディションを省略するケースも増えてきている。(ジャーニーアーネル・ピネダなど)

もともとaudtionオーディションという英語は、語源をたどればラテン語のaudire(聴く)という動詞の名詞形auditioであり、つまり聴くこと、という意味の名詞である[2]


歴史[編集]

俳優のオーディション[編集]

俳優といっても、分野ごとにオーディションもそれなりに異なっている。

オーディションではモノローグが使われることが一般的。

映画テレビドラマの制作は産業として確立しているので、オーディションのスタイルもそれなりに確立している。配役監督や監督プロデューサーなどが審査を行う[4]。オーディションでは、モノローグ(独白、独り台詞)が使われることが一般的である[4]

特定の映画作品の場合、たとえば、制作する予定の作品の設計図にあたる脚本がまずあり、その脚本の中から、その俳優が応募している役柄(キャラクター)がしゃべる予定になっている台詞、その役(キャラクター)の特徴がよく集約されている台詞を数行を抜き出すなどしたものなどが与えられ、ほんの短時間、たとえば十数秒~1分など、特定の役柄(キャラクター)を演ずる。審査員のほうは、応募者の発声法、役(キャラクター)の理解のしかた、外見的印象等々が、その作品および役柄(キャラクター)に適しているか、そうでないかを、その短時間で判断する。たとえば、映画の中でたびたび怪物に遭遇して何度も何度も驚き絶叫するヒロインの役のオーディションなら、応募者に数行の台詞と、たとえば「怪物を見たヒロイン、絶叫する」などというト書きが与えられ、短時間で絶叫する演技を審査員の前で見せる。たとえば議員の役のオーディションなら議員の台詞、傲慢なビジネスマンの役なら傲慢そうなビジネスマンの台詞がほんの数行程度与えられて、与えられた数十秒などの時間でその演技を審査員に見せる。審査員のほうは、多数の応募者たちが次から次へと目の前にやってきては、同一の設定で演技するのを聴き、見て、誰が、自分たちが制作する予定の作品のその役柄(キャラクター)に一番適していたかを判断する。

ミュージカル[編集]

ミュージカルの場合、世界的に標準となっているのは、その作品の中の16小節を2つ、対照的な2つ(たとえば片方が陽気であれば片方は悲しげ、片方が古典的であれば片方は現代的、片方が激しいのであれば片方は静か、など)が提示され、それを歌う。また1分ほどのモノローグも与えられる。そして顔写真をつけた経歴書も提出する。

世界的に見て標準的なやり方としては、ミュージカルのオーディションは2段階になっており、応募者の側としては大抵最初から特定の役を得るためにオーディションを受けているわけではあるが、まずは1回目のオーディションを受け、それに通ると「callback」という2段階目に入り、そこで特定の役に適しているかどうかの審査を受けることになる。

日本のオーディション[編集]

1950年代から1960年代にかけて、日本の映画会社が俳優を囲い込んでいて専属状態になる契約を強制的に結ばせ、自社以外の映画に出演させないようにしていた(たとえば松竹大映東映東映ニューフェイス)・東宝日活が定期的に自社専属の俳優をオーディションで選んでいた)。最近ではそのようにはなっておらず、しばしば、作品ひとつひとつに関してオーディションが行われている。

日本では2000年代以降は、インターネット技術の発達により、新たなオーディションの形態としてSHOWROOMミクチャ等の配信アプリを活用して、公開で行われるもの(配信審査)も増えてきている。

劇団[編集]

劇団のうち、大きな劇団では作品ごとに出演者のオーディションを行うことがある。

劇団四季では、ひとつひとつの作品ごとに、毎年厳しい劇団内オーディションを行っている。在籍年数が長かろうが短かろうが、特別扱いはされない。ひとつの役(キャラクター)に多数の俳優が応募し、特定の役を的確に把握しているか、役柄(キャラクター)のイメージに合致しているか、などの厳しい審査が行われ、多数の中からより抜きで選ばれる。たとえオーディションで選ばれたとしても、出演がずっと保証されているわけではなく、何か考え違いをしている・手抜きをしている、などと判断されれば、翌日から出演停止にされ、予備群で出演を待ち望んでいる俳優の誰かが出演者になってしまう。

女性タレント、女性アイドル[編集]

小中学生向け

男性[編集]

過去に行われていたもの[編集]

オーディションを題材とした作品[編集]

映画
ゲーム

脚注[編集]

  1. ^ Cambridge Dictionary
  2. ^ a b [1]
  3. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典[2]
  4. ^ a b Audition Tips Monologues Actors Kids Teens Women Men
  5. ^ コトバンク[3]